『越前海鮮倶楽部』『東京海鮮倶楽部』というブランド名で、まるまる一匹のたこを使った「たこから揚げせんべい」など、ユニークな展開をするタキダエンタープライズ。1993年の創業時から一貫して「誰もやらないようなことに挑戦しよう」と、独自の戦略や非常識といわれるアイデアにより、成長してきた。しかしその発想の原点は、思いつきでもなく、単なる話題づくりのためでもない。多くの場合、企業は市場や相場を考え、まずは「お客様が買ってくれる値段はいくらか」という視点で価格設定をする。しかしタキダエンタープライズは、「売りたい価格で売るためには、どうすれば良いか」を考える。そして行き着いた結果が、”これまで誰もやろうとしなかったことへの挑戦”だった。
このようにこだわり、一貫性がありつつも、柔軟にもなれるのがタキダエンタープライズの魅力だ。その一つが『CEO特命室』という新しい取り組み。『CEO特命室』に任命された新人スタッフは約3カ月間、滝田庄次郎CEOの直接指導を通じて、新人スタッフへの道を描くというものだ。「私は新卒で入社し3年目(2016年4月)なのですが、店長を経験させてもらったり、海外における展示会出展の企画を考えたり・・・。いろいろなことに早い段階から関わらせてもらえています」(CEO特命室2期生・新井菜央氏)。こういう取り組みも一つの要因となり、会社は年々飛躍的に成長を続けている。差別化ではなく独自化にこだわるタキダエンタープライズ。これからも最少・最良・最強のビジネスファミリーを目指す。
創業以来、タキダエンタープライズを引っ張ってきたCEOの滝田庄次郎氏。こういった企業の経営者は、多くは引退するまですべてを自分主導でやりがちだが、『CEO特命室』を設け、自身の経験や発想を社員に伝え人財育成をするという姿勢には感銘を受ける。また、今回、取材でお会いした東京ソラマチ店・店長の新井さんは、受け答えがハキハキしていて非常に好感が持てる方だった。いくら商品知識があっても、素敵な笑顔があったとしても、それだけでは足りない。コミュニケーションには、この堂々とした応対も必須だと感じた。